3月2日の北海道新聞朝刊の後志版に、小樽博物館(手宮館)で「星景写真展」が開催されているという記事が載りました。星景という言葉は、あまり聞きなれない言葉ですが、要は星が映り込んだ風景を言います。この場合の星とは、太陽や地球、月は勿論、人工衛星を含めて言います。開催初日の2日に早速見てきました。美しい星空を取り込んだ作品が30点展示されています。機会があればぜひ見ることをお勧めいたします。星空の美しさ、自然が作り出す雄大さを味わうことが出来ます。
そこで今回は展示作品の模様を紹介するとともに、私自身も星景写真撮影が好きで撮りためた作品がありますので、その一部を紹介したいと思います。まずは写真展の概要等から紹介します。
<日本星景写真協会「星の風景」小樽展>
協会のパンフレットによれば、「星景写真」とは、星空と地上の風景を同一画面に収めた「星のある風景写真」のこととあります。アマチュア天文家の世界では、この分野の写真を専門的に撮影する人も増えて、今では天体写真の一ジャンルとして認識されています。全国では約200人のプロ・アマチュア写真家が活動しているといいます。
なお、写真展は2月2日〜3月3日までが第1部、3月6日〜31日が第2部となっています。各回30点展示。
入場料として、博物館入館料(大人300円)が必要です。
会場は博物館2F回廊
このような美しい風景があるのか、という感じです。手前から2番目のサボテンの写真は、オレンジに輝くサボテンの横で円を描く星の軌跡が写し込まれています。
手前から2番目の写真は、東京都庁のツインビルの間に見えるオレンジ色の月です。
手前の写真は、「天へ続く道」と題され、ニュージーランドの高地に建つ廃屋と天の川を映した画像です。
<星の風景撮影法>
なお、会場には「星の風景」撮影法という小パンフレットが置かれています。撮影方法の一部が、ポスター大にして展示されています。大変役立ちそうな内容なのでパンフレットから一部を転載しておきます。
☆撮影に必要なものは?
1フィルムカメラまたはデジタルカメラ
2頑丈な三脚
3レリーズやリモコン
☆ フィルムカメラの場合
1ピントを合わせる。ピントは無限遠にセット
2絞りは基本的には解放、あるいは1段絞る。
3シャッタースピードはバルブにセット
4構図を決める。この構図が写真の良しあしを決めるポイントになります。
5露出時間を決める。適正露出は周辺の明るさによっても変わり、一概に言えません。段階露出することをお勧めします。
6シャッターを切る。カメラが動かぬようにれレリーズを使う。
☆ デジタルカメラの場合
1ピントを合わせる。ピントは無限遠にセット
2絞りは基本的には解放、または一段絞る。
3シャッタースピードは、10〜30秒またはB(バルブ) 星を点像にするときは30秒以内とする。
4構図を決める。ここがポイントになります。
5シャッターを切る。
6(WB)はオートのほか、太陽光、白熱光など適宜代える。
7ISO感度は400〜1600程度とするのが一般的です。
☆ 一口アドバイス(この項目はパンフレットではなく、私自身の経験から)
1出来る限り広角レンズを使用する。
2寒い時に撮影すると電池の消耗が激しくなります。デジタルカメラではバルブ撮影の時も、電気を消費しています。長時間露光をするときは機械式フィルムカメラが良いですね。例えば、OLYMPUS OM-4のB(バルブ)モードでは電気を使いません。
3長時間露光で星の軌跡を写し込む場合は、フィルムカメラを、短時間露光の場合はデジタルカメラをと使い分けるのがいいでしょう。
4デジタルカメラで星の軌跡を撮影する場合は、短時間撮影(5−10秒以内)を繰り返して、すべてのカットをPCソフトで合成します。
5星の点撮影する場合はソフトフィルターを使うと、星がにじんで大きく映ります。
6太陽を写し込む長時間露光(いわゆる太陽の棒撮り)の場合はフィルムカメラで、ポジフィルムを使うことをお勧めします。デジタルカメラでは1時間も太陽を写し込むと撮影素子が壊れてしまいます。ネガフィルムですと、かりっとした画像が得られません。
さて、写真展については以上のとおりですが、第2部の展示会も待ち遠しいものです。次は私自身が過去に撮影した星景写真の真似事画像がありますのでご紹介いたします。博物館の展示作品とは雲泥の差があって恥ずかしい限りですが、ともあれご紹介いたします。
平成13年ころ立川の官舎で撮影。撮影に出かけようとカメラ一式を自転車のかごに放り投げていると、偶然日中の明るい空に半月が出ていて、それに向かって飛行機(自衛隊機?)が一機向かっていきました。
八王子駅ビルのそごうデパートの屋上からは富士山が見えます。富士山の裾野に太陽が落ちることを見越して、10分間隔でシャッターを切りました。7回の多重撮影で、うち6回は太陽を撮影(F16・1/4000)、最後の1回は地平線に沈んだ後、オート露出で切ります。6回目で撮影を終えてしまうと真っ黒の画面に太陽が6個、並んでいるだけです。最後の7回目で富士のシルエットと茜色が現れます。なお経験上、ネガフィルムではこれほどクリアーに出ません。ラチュードの狭い(適正露出の許容範囲の狭い)ポジフィルムが最適です。なおこの画像は、平成14年「八王子自然写真コンテスト」入選「落日」作品です。
この画像が太陽の棒撮りと言われています。約1時間30分ほど露光しています。F値をできる限り絞って、バルブで撮影します。ただ、このままシャッターを切ると露出オーバーとなって、真っ白な画像になってしまいます。光量を減じるフィルターを使います。私の場合はIR=72という赤外フィルターを使いました。これによって人間の目に見える可視光線(400−700nm=ナノメートル、1nm=1/10億m)がカットされて、赤外線のみがフィルム面に焼きこまれます。二度目に太陽が沈んだ後に、赤外フィルターを外してオートで撮影すると、茜色の夕景が現れます。
なお、うまい具合に灯台に太陽が突き刺さったものだと思われるでしょうね。これは太陽がほぼ45度の角度で沈むことがわかっています。したがって45度の三角定規があれば、沈む位置(撮影位置)がわかるのです。沈む位置を、灯台の先端になるような撮影位置を探せばいいのです。
マイルドセブンの丘で20分ほどの露光で撮影しました。ネガフィルムで撮影しております。右下方に流れ星のような光跡がありますが、多分旭川空港に着陸する飛行機の光跡かと思います。この間デジタルカメラでほかの撮影をしていて、この光跡に気が付きませんでした。2009年小樽市展入選「マイルドセブンの丘に星が降る」
マイルドセブンの丘でデジタルカメラによる撮影。平成24年キコリンの森「100年先に残したい風景」フォトコンテスト金賞「満天の星と澄んだ空気」
2010年公共建築の日フォトコンテスト佳作「星降る夜」美瑛町美馬牛小学校の尖塔と星空です。
ニセコ東山曽我地区の二本のサクランボの樹と羊蹄の撮影スポットです。第4回デジタルフォトコンテスト入選「月と一番星」
積丹沖へ出漁する漁船。沖に沈む夕日が大きくてきれいだ。フジFotonoma「魚河岸三代目フォトコン」入選「落日の中の出漁」
冬の星座オリオンと赤井川村の雲海。中央奥に羊蹄山が見えます。
国際宇宙ステーションとスペースシャトルエンデバーがドッキングして、当時話題になりました。2008年9月11日のことでした。
最後は再びマイルドセブンの丘。第6回ふるさとTV・お国自慢写真コンクール審査員特別賞(NTTコミニケーションズ社賞)「マイルドセブンの丘に星が降る」
そこで今回は展示作品の模様を紹介するとともに、私自身も星景写真撮影が好きで撮りためた作品がありますので、その一部を紹介したいと思います。まずは写真展の概要等から紹介します。
<日本星景写真協会「星の風景」小樽展>
協会のパンフレットによれば、「星景写真」とは、星空と地上の風景を同一画面に収めた「星のある風景写真」のこととあります。アマチュア天文家の世界では、この分野の写真を専門的に撮影する人も増えて、今では天体写真の一ジャンルとして認識されています。全国では約200人のプロ・アマチュア写真家が活動しているといいます。
なお、写真展は2月2日〜3月3日までが第1部、3月6日〜31日が第2部となっています。各回30点展示。
入場料として、博物館入館料(大人300円)が必要です。
会場は博物館2F回廊
このような美しい風景があるのか、という感じです。手前から2番目のサボテンの写真は、オレンジに輝くサボテンの横で円を描く星の軌跡が写し込まれています。
手前から2番目の写真は、東京都庁のツインビルの間に見えるオレンジ色の月です。
手前の写真は、「天へ続く道」と題され、ニュージーランドの高地に建つ廃屋と天の川を映した画像です。
<星の風景撮影法>
なお、会場には「星の風景」撮影法という小パンフレットが置かれています。撮影方法の一部が、ポスター大にして展示されています。大変役立ちそうな内容なのでパンフレットから一部を転載しておきます。
☆撮影に必要なものは?
1フィルムカメラまたはデジタルカメラ
2頑丈な三脚
3レリーズやリモコン
☆ フィルムカメラの場合
1ピントを合わせる。ピントは無限遠にセット
2絞りは基本的には解放、あるいは1段絞る。
3シャッタースピードはバルブにセット
4構図を決める。この構図が写真の良しあしを決めるポイントになります。
5露出時間を決める。適正露出は周辺の明るさによっても変わり、一概に言えません。段階露出することをお勧めします。
6シャッターを切る。カメラが動かぬようにれレリーズを使う。
☆ デジタルカメラの場合
1ピントを合わせる。ピントは無限遠にセット
2絞りは基本的には解放、または一段絞る。
3シャッタースピードは、10〜30秒またはB(バルブ) 星を点像にするときは30秒以内とする。
4構図を決める。ここがポイントになります。
5シャッターを切る。
6(WB)はオートのほか、太陽光、白熱光など適宜代える。
7ISO感度は400〜1600程度とするのが一般的です。
☆ 一口アドバイス(この項目はパンフレットではなく、私自身の経験から)
1出来る限り広角レンズを使用する。
2寒い時に撮影すると電池の消耗が激しくなります。デジタルカメラではバルブ撮影の時も、電気を消費しています。長時間露光をするときは機械式フィルムカメラが良いですね。例えば、OLYMPUS OM-4のB(バルブ)モードでは電気を使いません。
3長時間露光で星の軌跡を写し込む場合は、フィルムカメラを、短時間露光の場合はデジタルカメラをと使い分けるのがいいでしょう。
4デジタルカメラで星の軌跡を撮影する場合は、短時間撮影(5−10秒以内)を繰り返して、すべてのカットをPCソフトで合成します。
5星の点撮影する場合はソフトフィルターを使うと、星がにじんで大きく映ります。
6太陽を写し込む長時間露光(いわゆる太陽の棒撮り)の場合はフィルムカメラで、ポジフィルムを使うことをお勧めします。デジタルカメラでは1時間も太陽を写し込むと撮影素子が壊れてしまいます。ネガフィルムですと、かりっとした画像が得られません。
さて、写真展については以上のとおりですが、第2部の展示会も待ち遠しいものです。次は私自身が過去に撮影した星景写真の真似事画像がありますのでご紹介いたします。博物館の展示作品とは雲泥の差があって恥ずかしい限りですが、ともあれご紹介いたします。
平成13年ころ立川の官舎で撮影。撮影に出かけようとカメラ一式を自転車のかごに放り投げていると、偶然日中の明るい空に半月が出ていて、それに向かって飛行機(自衛隊機?)が一機向かっていきました。
八王子駅ビルのそごうデパートの屋上からは富士山が見えます。富士山の裾野に太陽が落ちることを見越して、10分間隔でシャッターを切りました。7回の多重撮影で、うち6回は太陽を撮影(F16・1/4000)、最後の1回は地平線に沈んだ後、オート露出で切ります。6回目で撮影を終えてしまうと真っ黒の画面に太陽が6個、並んでいるだけです。最後の7回目で富士のシルエットと茜色が現れます。なお経験上、ネガフィルムではこれほどクリアーに出ません。ラチュードの狭い(適正露出の許容範囲の狭い)ポジフィルムが最適です。なおこの画像は、平成14年「八王子自然写真コンテスト」入選「落日」作品です。
この画像が太陽の棒撮りと言われています。約1時間30分ほど露光しています。F値をできる限り絞って、バルブで撮影します。ただ、このままシャッターを切ると露出オーバーとなって、真っ白な画像になってしまいます。光量を減じるフィルターを使います。私の場合はIR=72という赤外フィルターを使いました。これによって人間の目に見える可視光線(400−700nm=ナノメートル、1nm=1/10億m)がカットされて、赤外線のみがフィルム面に焼きこまれます。二度目に太陽が沈んだ後に、赤外フィルターを外してオートで撮影すると、茜色の夕景が現れます。
なお、うまい具合に灯台に太陽が突き刺さったものだと思われるでしょうね。これは太陽がほぼ45度の角度で沈むことがわかっています。したがって45度の三角定規があれば、沈む位置(撮影位置)がわかるのです。沈む位置を、灯台の先端になるような撮影位置を探せばいいのです。
マイルドセブンの丘で20分ほどの露光で撮影しました。ネガフィルムで撮影しております。右下方に流れ星のような光跡がありますが、多分旭川空港に着陸する飛行機の光跡かと思います。この間デジタルカメラでほかの撮影をしていて、この光跡に気が付きませんでした。2009年小樽市展入選「マイルドセブンの丘に星が降る」
マイルドセブンの丘でデジタルカメラによる撮影。平成24年キコリンの森「100年先に残したい風景」フォトコンテスト金賞「満天の星と澄んだ空気」
2010年公共建築の日フォトコンテスト佳作「星降る夜」美瑛町美馬牛小学校の尖塔と星空です。
ニセコ東山曽我地区の二本のサクランボの樹と羊蹄の撮影スポットです。第4回デジタルフォトコンテスト入選「月と一番星」
積丹沖へ出漁する漁船。沖に沈む夕日が大きくてきれいだ。フジFotonoma「魚河岸三代目フォトコン」入選「落日の中の出漁」
冬の星座オリオンと赤井川村の雲海。中央奥に羊蹄山が見えます。
国際宇宙ステーションとスペースシャトルエンデバーがドッキングして、当時話題になりました。2008年9月11日のことでした。
最後は再びマイルドセブンの丘。第6回ふるさとTV・お国自慢写真コンクール審査員特別賞(NTTコミニケーションズ社賞)「マイルドセブンの丘に星が降る」