札幌雪祭りが2月5日(水曜)から始まり、7日(金曜)からは小樽雪あかりの路が始まりました。相次いでイベントが始まっても、一向に天候が回復しません。日中でも氷点下の日が続いています。写真愛好家にはそんなことも言ってられないのですが、やはり道産子でも、この寒さには閉口しています。
氷の世界も、その1では氷雪像を取り上げ、その2では、ツララを取り上げました。今回その3では川や湖、あるいは海に発生する氷のアートを取り上げたいと思います。その前に、一つ断っておきたいのは「雪」と「氷」の違いです。なんとなくわかるような気がしますが、学術用語でははっきりと区分されています。雪は通気性のあるもの、氷は通気性のないものを言います。では空から降った雪が、踏み固められ、アイスバーン状態になったらどうなるのか?なんて疑問がわきますが、やはり通気性で測定し、一定以下になると氷と言うらしいです。細かいことはさておいて、ここで取り上げる氷は、場合によっては、厳密には雪に分類されるかもしれません。その辺はご勘弁いただきたいと思います。
(1) 凍てつく大地
通常雪の降った大地は、雪原と呼ばれます。踏み込むと、ずぶずぶとぬかります。これは雪と雪の間の通気性が大きいからですね。ところが、道東や北海道の内陸では、氷点下20度を下回ることが通常起きています。こうなると雪原の表面が凍って、氷原になってしまいます。体重をかけて歩いても、ずぼっとぬかることがありません。
道東は、釧路管内標茶町の字熊牛原野付近、地名がクマとウシしか住んでいないようなイメージですが…女優高橋恵子の出身地ですね。雪原がガチンガチンに凍っています。
こちらは、札幌郊外の石狩市花畔付近です。またまた珍しい地名が出てきました。読める方は、北海度通ですね。「バンナグロ」と読みます。雪の結晶(氷)が朝日に輝いています。この日は氷点下15度でした。
この画像は氷じゃない?いえいえ、川の水が空気中で昇華して氷の結晶となって、樹木や川べりのすすきの穂に着いたものなんです。この日の朝はマイナス25度、風がないのでそれほど寒さは感じません。子供たちは元気に通学です。
凍ったナナカマド。小樽ではまず見られません。内陸の芦別で撮影しました。
天体写真のようですが、雪原に反射する氷の結晶です。極端にマイナス補正して撮影しました。
最後はこの画像です。多分旅行雑誌で見たことのある光景だと思います。雪原ならぬ氷原の中に立つ美瑛の親子の木です。
(2) 湖に出る不思議なアート
ここでは、糠平湖のキノコ氷と屈斜路湖和琴半島で見た氷のアートを取り上げます。昨年の2月に初めて糠平湖に行きました。撮影の目的は、崩壊まじかと言われる幻の鉄橋「タウシュベツ鉄橋」を撮影することでした。この鉄橋は発電用の人造湖・糠平湖が造成されるに伴って、昭和62年に廃線となったJR旧上士幌線です。糠平湖の水位によって湖面に出たり、水没したりします。もう一つ糠平湖で有名なのがキノコ氷の出現です。冬季全面結氷した湖面が、発電で水位が下がり、結氷した湖面も下がります。その時湖底の立ち木に氷が残ります。その形がキノコに似ているためキノコ氷と呼ばれます。
遠方にワカサギ釣りのテントも見えます。キノコ氷の詳細については、当ブログ2013.3.13付「道東厳冬の撮影ツアー」を参照してください。
その氷の断面を見ると、気泡がいっぱい。
屈斜路湖和琴半島付近には温泉が噴き出しています。地中から吹き出した気泡が冷やされて氷になると、色んな模様になります。手のようにも見えます。
気泡の凍ったのが重なったように見えます。
動物か人のようにも見えます。
波打ち際には珍しい氷の模様が出来ていました。
不思議なアートとは言えませんが、ご存知摩周湖ですが、4−5年に一度は全面結氷すると言われています。日付が入っていますが17年前釧路に勤務していた折に撮影したものです。
(3) 凍った美瑛の青い池
今や美瑛の青い池は全国的にも有名になって、夏の間は観光バスでアジア系の外国人も多数来ます。観光シーズンには、駐車場が満杯になることも珍しくありません。しかし冬は滅多に観光客が訪れません。青い池が雪に埋もれて見えなくなるので当然のことです。雪解けの始まる春先や、初冬の頃も、結構絵になる写真が撮れます。そんな中から、氷に絡むいくつかを紹介します。
初冬の頃、池は全面結氷しますが、結氷しても青さが残り、カラマツ林のオレンジ色ととてもマッチします。
やがて陽が高くなって、暖かくなると、結氷した池面のあちこちに花模様の割れ目が出てきます。
さらに時間がたつと…シャーベット状になってきます。
結氷した池全体に、美しい亀甲に似た模様となります。
なお、上にあげた3カットとも撮影時期、時間が異なります。その時の光線状態、撮影角度や氷の状態によって色調が幾通りにも変化します。
(4) 河口と海に見る氷塊
海に見る氷と言うと、真っ先に流氷を連想します。残念ながら私自身は、オホーツク海側の網走や紋別への流氷ツアーに参加したことがありません。と言うのも、真っ青に晴れた日でないと、雑誌やテレビで見るような美しい流氷は見られません。空の青さが海に反射してるからこそ、白い流氷が映えます。これが曇天や雪の日であれば、あのような綺麗な流氷にはなりません。なので、ツアーに参加しても天候次第だからです。
とはいえ、釧路に勤務していた折に、知床の羅臼沖で何度か見たことがあります。なお、オホーツク海で見られる流氷は、ロシアのアムール川で凍った氷塊が、海に流れ出し、宗谷海峡を越えてオホーツク海に来ると言われています。北海道内でも、釧路川では氷塊が海に流れ出しますが、海水温が高いために、流氷となって沿岸に押し寄せることはありません。知床の羅臼沖で見られる流氷も、オホーツク海の流氷が知床岬を回って入り込んだものです。
羅臼の高台からは、国後島との中間に流氷が見えます。
岸辺近くまで流れてきた流氷。海水温が高いのでかなり溶けかかっています。
石狩漁港で見かけて蓮葉氷。
釧路川にかかる久寿里橋と流氷。上流から流れてきた氷塊が水温の高い河口付近では溶けて、蓮葉氷状態となりました。この時は満ち潮で、蓮葉氷が上流(画面右手)に向かって流れるという珍しい現象を目にしました。
積丹海岸の岩場です。岩は波をかぶって、飛沫が岩肌に氷となってへばりついています。
小樽勝納川河口で見た板氷です。薄い板状の氷が数枚重なっています。この河口は実は市内の雪捨て場になっていて、捨てられた雪が、凍ったものです。
夜の勝納川河口付近。手前に見えるのは蓮葉氷状になった、捨てられた雪です。画像の色調がおかしい?そうです、ポジフィルムで撮影したフィルムを、クロス現像した画像なんです。クロス現像については、別途当ブログ2011.11.23付「クロス現像による写真」を参照してください。
なお、氷の世界〜その4、最終回では霧氷あるいは樹氷を取り上げる予定をしています。
氷の世界も、その1では氷雪像を取り上げ、その2では、ツララを取り上げました。今回その3では川や湖、あるいは海に発生する氷のアートを取り上げたいと思います。その前に、一つ断っておきたいのは「雪」と「氷」の違いです。なんとなくわかるような気がしますが、学術用語でははっきりと区分されています。雪は通気性のあるもの、氷は通気性のないものを言います。では空から降った雪が、踏み固められ、アイスバーン状態になったらどうなるのか?なんて疑問がわきますが、やはり通気性で測定し、一定以下になると氷と言うらしいです。細かいことはさておいて、ここで取り上げる氷は、場合によっては、厳密には雪に分類されるかもしれません。その辺はご勘弁いただきたいと思います。
(1) 凍てつく大地
通常雪の降った大地は、雪原と呼ばれます。踏み込むと、ずぶずぶとぬかります。これは雪と雪の間の通気性が大きいからですね。ところが、道東や北海道の内陸では、氷点下20度を下回ることが通常起きています。こうなると雪原の表面が凍って、氷原になってしまいます。体重をかけて歩いても、ずぼっとぬかることがありません。
道東は、釧路管内標茶町の字熊牛原野付近、地名がクマとウシしか住んでいないようなイメージですが…女優高橋恵子の出身地ですね。雪原がガチンガチンに凍っています。
こちらは、札幌郊外の石狩市花畔付近です。またまた珍しい地名が出てきました。読める方は、北海度通ですね。「バンナグロ」と読みます。雪の結晶(氷)が朝日に輝いています。この日は氷点下15度でした。
この画像は氷じゃない?いえいえ、川の水が空気中で昇華して氷の結晶となって、樹木や川べりのすすきの穂に着いたものなんです。この日の朝はマイナス25度、風がないのでそれほど寒さは感じません。子供たちは元気に通学です。
凍ったナナカマド。小樽ではまず見られません。内陸の芦別で撮影しました。
天体写真のようですが、雪原に反射する氷の結晶です。極端にマイナス補正して撮影しました。
最後はこの画像です。多分旅行雑誌で見たことのある光景だと思います。雪原ならぬ氷原の中に立つ美瑛の親子の木です。
(2) 湖に出る不思議なアート
ここでは、糠平湖のキノコ氷と屈斜路湖和琴半島で見た氷のアートを取り上げます。昨年の2月に初めて糠平湖に行きました。撮影の目的は、崩壊まじかと言われる幻の鉄橋「タウシュベツ鉄橋」を撮影することでした。この鉄橋は発電用の人造湖・糠平湖が造成されるに伴って、昭和62年に廃線となったJR旧上士幌線です。糠平湖の水位によって湖面に出たり、水没したりします。もう一つ糠平湖で有名なのがキノコ氷の出現です。冬季全面結氷した湖面が、発電で水位が下がり、結氷した湖面も下がります。その時湖底の立ち木に氷が残ります。その形がキノコに似ているためキノコ氷と呼ばれます。
遠方にワカサギ釣りのテントも見えます。キノコ氷の詳細については、当ブログ2013.3.13付「道東厳冬の撮影ツアー」を参照してください。
その氷の断面を見ると、気泡がいっぱい。
屈斜路湖和琴半島付近には温泉が噴き出しています。地中から吹き出した気泡が冷やされて氷になると、色んな模様になります。手のようにも見えます。
気泡の凍ったのが重なったように見えます。
動物か人のようにも見えます。
波打ち際には珍しい氷の模様が出来ていました。
不思議なアートとは言えませんが、ご存知摩周湖ですが、4−5年に一度は全面結氷すると言われています。日付が入っていますが17年前釧路に勤務していた折に撮影したものです。
(3) 凍った美瑛の青い池
今や美瑛の青い池は全国的にも有名になって、夏の間は観光バスでアジア系の外国人も多数来ます。観光シーズンには、駐車場が満杯になることも珍しくありません。しかし冬は滅多に観光客が訪れません。青い池が雪に埋もれて見えなくなるので当然のことです。雪解けの始まる春先や、初冬の頃も、結構絵になる写真が撮れます。そんな中から、氷に絡むいくつかを紹介します。
初冬の頃、池は全面結氷しますが、結氷しても青さが残り、カラマツ林のオレンジ色ととてもマッチします。
やがて陽が高くなって、暖かくなると、結氷した池面のあちこちに花模様の割れ目が出てきます。
さらに時間がたつと…シャーベット状になってきます。
結氷した池全体に、美しい亀甲に似た模様となります。
なお、上にあげた3カットとも撮影時期、時間が異なります。その時の光線状態、撮影角度や氷の状態によって色調が幾通りにも変化します。
(4) 河口と海に見る氷塊
海に見る氷と言うと、真っ先に流氷を連想します。残念ながら私自身は、オホーツク海側の網走や紋別への流氷ツアーに参加したことがありません。と言うのも、真っ青に晴れた日でないと、雑誌やテレビで見るような美しい流氷は見られません。空の青さが海に反射してるからこそ、白い流氷が映えます。これが曇天や雪の日であれば、あのような綺麗な流氷にはなりません。なので、ツアーに参加しても天候次第だからです。
とはいえ、釧路に勤務していた折に、知床の羅臼沖で何度か見たことがあります。なお、オホーツク海で見られる流氷は、ロシアのアムール川で凍った氷塊が、海に流れ出し、宗谷海峡を越えてオホーツク海に来ると言われています。北海道内でも、釧路川では氷塊が海に流れ出しますが、海水温が高いために、流氷となって沿岸に押し寄せることはありません。知床の羅臼沖で見られる流氷も、オホーツク海の流氷が知床岬を回って入り込んだものです。
羅臼の高台からは、国後島との中間に流氷が見えます。
岸辺近くまで流れてきた流氷。海水温が高いのでかなり溶けかかっています。
石狩漁港で見かけて蓮葉氷。
釧路川にかかる久寿里橋と流氷。上流から流れてきた氷塊が水温の高い河口付近では溶けて、蓮葉氷状態となりました。この時は満ち潮で、蓮葉氷が上流(画面右手)に向かって流れるという珍しい現象を目にしました。
積丹海岸の岩場です。岩は波をかぶって、飛沫が岩肌に氷となってへばりついています。
小樽勝納川河口で見た板氷です。薄い板状の氷が数枚重なっています。この河口は実は市内の雪捨て場になっていて、捨てられた雪が、凍ったものです。
夜の勝納川河口付近。手前に見えるのは蓮葉氷状になった、捨てられた雪です。画像の色調がおかしい?そうです、ポジフィルムで撮影したフィルムを、クロス現像した画像なんです。クロス現像については、別途当ブログ2011.11.23付「クロス現像による写真」を参照してください。
なお、氷の世界〜その4、最終回では霧氷あるいは樹氷を取り上げる予定をしています。