例年春先のこの時期、旭岳や富良野・美瑛を回ることが多いのですが、今年は私の属する写真同好会内の事情もあって、行けそうもありません。かといって単独で撮影日程を組むには、まだ残雪の道路を走るリスクが大きいので踏み切れません。と言うわけで今回は、富良野・美瑛について、少し古い写真を集めてみました。フィルム時代の写真が主で、ポジフィルムやネガカラーあるいは赤外フィルムで撮った画像もあります。
北海道新聞社の写真文化講座を受講していた当時(平成9−12年)に、札幌のDPE店が主催する富良野・美瑛撮影バスツアーに参加したのが初めてでした。冬の撮影ツアーでしたが、美瑛在住の写真家高橋真澄先生に案内・指導していただいたことがありました。その後何度か撮影バスツアーに参加し、家族でも夏休みに撮影に行ったことがあります。その当時の写真を中心に、今回ご紹介したいと思います。平成11年から17年までの、フィルムによる画像です。中には過去にもブログで使った画像がありますが、その辺はご容赦願います。
(1) 富良野・美瑛は冬の風景も美しい
富良野・美瑛が一躍有名になったのは、風景写真の大家前田真三氏の功績が大です。昭和40年代に当時の国鉄のポスターに、前田真三氏が撮影した富良野・美瑛の風景が採用されたのがきっかけでした。そして昭和52年に撮影され発表された「麦秋鮮烈」で一躍富良野・美瑛の名前が全国ブランドとなりました。写真に疎い方でも、美瑛の丘の麦畑に、雨雲の割れ目から射した夕陽が、赤麦を真っ赤に染め上げた写真をご覧になっているのではないでしょうか。
富良野・美瑛の丘が美しく見えるのは何も花のシーズンだけではありません。冬だって、あっと思わせる風景があるのです。過去にフィルムで撮影したものの中から選んでみました。
今では珍しくなった大きなサイロがあります。美瑛の最奥白金温泉近くにある「白金模範牧場」です。写真撮影のスポットになっているのですが、場所がわかりにくいのか、ここで撮影している方は見かけないですね。
美瑛川に架かる橋から、川を見ると普通の川よりもかなり青い。美瑛川は別名ブルーリバーとも呼ばれています。冬季には綺麗な雪団子も見られます。
美馬牛小学校の尖塔、晴れた日は遠く十勝岳連峰が顔を見せる。
有名なマイルドセブンの丘です。ポジフィルムで撮影しましたが、かなり露出がアンダー目です。かえってそのために、雪原に雪の結晶が光っているのが見えました。
上と同じ日に撮影しました。夏場であれば、手前の木のところを農道が横に走っているのですが、冬期間は除雪がされていません。なので雪原を歩いて行った方がいるようです。
撮影場所は、覚えていませんが、夕方の光が当たり、樹木の影が雪原に長く伸びました。タングステンフィルムを使ったので、青味が濃く出ました。デジタルカメラであれば、ホワイトバランスの調整で済みますが、昔はブルーフィルターを使うか、タングステンフィルムを使うしかりませんでした。
下半分は、丘が陽をさえぎって日陰となってます。日の当たった農家の小屋が、ぐんと存在感を増しました。
ご存知哲学の木です。
撮影場所を忘れましたが、タングステンフィルムで撮りました。
(2) 美しい麦畑
先程赤麦の話をしましたが、一時作付されなくなりましたが、近年赤麦保存会が設立されて、あちこちで作付されるようになったようです。
平成15年7月の撮影。マイルドセブンの丘の裏側で栽培されていました。普通の麦に比べると、かなり赤みが強いようです。
こちらは普通の小麦です。スローシャッターで穂先が風に揺れる表情を撮りました。
麦が作付された直後は、ご覧の通り。一直線に地平線に向かって畝が伸びています。
やがてしばらくすると、青々とした目が出てきました。
(3) ラベンダー花盛り
富良野と言えばラベンダーが代表する花です。初夏のころにはラベンダーで有名な富田ファームは、駐車場が大型バスや、マイクロバス、そして自家用車で満杯になります。富良野から美瑛に至る国道237号線、別名花人街道は、夏休みの土日、祝日には大渋滞を引き起こします。
古い画像で、撮影地を忘れましたが、深山峠付近ではなかったかと思います。
ここは富田ファームです。奥の東屋の屋根が特徴です。
美馬牛駅近くの神野ファームです。
同じく神野ファームですが、撮影時期が違っています。
ね、ね、えラベンダーの撮影はそのくらいにして、私を撮ってよ、とでも言っているのかな。
深山峠付近のラベンダー園。規則正しく並んでいる立札は、貸農園の借主の名前が記されて今す。収穫後は、借主にラベンダーが送られるのでしょうか。
(4) ルピナスが満開
ラベンダーと並んで、ルピナスもよく見かけます。
深山峠展望台の下り斜面には、ルピナスが所狭しと咲き誇っています。ただし年によって、位置が変わるようですが…
後方左端が、トリックアート館、次が展望台で、赤いトラクターの奥は農業用ハウスです。
撮影場所は忘れましたが、ルピナス巣の葉に雨による水滴がたまっていました。
リズミカルな並び方に、ついカメラを向けたくなります。
(5) テレビコマーシャルにも出てきた富良野郊外の八幡の丘
碁盤の目状の富良野市内を抜けて、富良野岳の麓に近い麓郷の森に抜ける道道253号線は、別名「北の国からロード」と呼ばれてています。ここがテレビドラマ北の国からの撮影地になったからです。まず麓郷に入る道道253号線と富良野東9号線が交差する付近に、鳥沼公園があります。
とても綺麗な公園で、周囲の風景が沼に映り込んでいます。
ボート遊びも出来ます。
沼に映り込んだ樹木が揺れて、幻想的に見えます。
さて道道53号線を麓郷方面に入ると、途中一部砂利道ですが、間もなく美しい風景に出合います。
ドラマに登場した、岩城洸一ふんする北村草太の牧場です。草原に赤い二つのサイロが目立ちます。その後このフェニックス牧場は、倒産して、現在はどうなっているか不明です。
三好牧場と言って、この風景は作られた風景ですが、北の国から以外のテレビドラマでも使われています。
さらに進むと右手に春よ来いの木があり、さらに進むと、五郎の石の家がある麓郷の森に突き当たります。デジタルカメラで撮影した画像はありますが、フィルム時代の画像がありませんので、次回デジタル写真のところで紹介したいと思います。
(6) 富田ファーム他
平成11年に、次女を連れて家族旅行した際の一枚です。ソフトクロスフィルターをかけました。
富田ファームは、開花時期をずらして育成しているので、夏季であればラベンダーを始め色んな花が楽しめます。
この年は幾分天候不順で、花の咲きが遅く、特に赤い色の花が少なかったようでした。
にもかかわらず、大勢のカメラマンが押し寄せ、熱心に撮影していました。空が青ければ絵になるのですが、曇天では絵にならないので、上下をカットしてパノラマ風にしてみました。
三愛の丘だってでしょうか、夕日を撮ろうとして待機していると、黒い雨雲が覆いかぶさり、ところどころの割れ目から日が射しこんできました。幸い、カメラにはポジフィルムを詰めてましたので、マイナス補正して撮影、陽のあたる部分を強調することが出来ました。これがネガカラーフィルムですと、ラチュードが広いため、このような画像にはなりません。
前田真三ギャラリー拓真館の裏側から四季彩の丘に抜ける道路で見かけた風景。
マイルドセブンの丘を、一台の車だ上がっていく。テールランプの光跡を取り込んでみました。