小樽雛めぐりは、3月9日(日曜)まで続きます。第2回目の今回は、お雛様の紹介だけではなく、それらにまつわるエピソードなども含め、あるいは雛めぐりの期間中に行われた各種演奏会の模様や、百人一首・かるた大会の模様も含めて紹介いたします。標題の画像は、昨年の田中酒造亀甲蔵の雛飾りです。
(1) 中山美穂主演映画「Love Letter」に使われたお雛様
以前、平成23年の雛めぐりでも触れたことがありますが、「Love Letter」と言う小樽の街をロケした映画をご存知でしょうか。、1995年公開された岩井俊二監督の日本映画。中山美穂、豊川悦司主演。誤配された恋文からはじまる、雪の小樽と神戸を舞台にしたラブストーリー。1999年には韓国でも公開され、韓国ではとりわけ大人気を博し、劇中に出てきた「お元気ですか?」という言葉が流行語となったといいます。舞台となった小樽には韓国人観光客が大勢みえました。なお、主人公・藤井樹(イツキ・女性)の自宅という設定だった小樽市の旧坂別邸は、残念ながら平成19年5月に火災で焼失しました。この映画で、主演の中山美穂は、第38回ブルーリボン賞の主演女優賞を得ています。
ドラマの最初の方に、雪の降る寒い日に、広々とした広間で雛壇を飾るシーンが出てきます。その時に使われたセットです。クラフトショップれん所蔵。百人一首の木札(取り札)には、下の句が筆字の崩し文字で書かれています。
左が「(夕されば 門田の稲葉 おとづれて) あしのまろやに 秋風ぞ吹く」 大納言経信
右が「(今来むと 言ひしばかりに 長月の) 有明の月を 待ち出でつるかな」 素性法師
(同姓同名の)藤井樹様「あなたは誰ですか?」と言う言葉が、とても印象的でした。
(2) 狸庵のつるし雛
つるし雛の発祥の地は、静岡県の伊豆稲取地方と言われています。江戸時代後期から伝わる風習で、長女の初節句に、雛壇の横に無病息災、良縁祈願として飾られました。庶民の雛壇替わりでもあったようです。また九州の柳川市ではさげもんと呼ばれています。雛壇の前に手毬や袋物を吊るした飾りを51個(昔の人生50年を超えるという意味)天井からつるして飾る風習があります。どちらも豪華絢爛をうたい文句にしており、雛めぐりツアーやフォトコンテストが盛んです。
北海道にはつるし雛やさげもんの風習は伝わらなかったようですが、最近は時折つるし飾りを見かけることもあります。民家を市民サロンとして開放している狸庵(市内新光4丁目)では、近隣の主婦たちの「お針の会」が手作りしたつるし雛が人気を集めています。雛人形は、明治、大正、昭和などの雛壇が年代別に並んでいます。
奥の和室には、年代別の雛壇が所狭しと並び、天井からはつるし雛が並ぶ。
一歩中に入ると、つるし雛に圧倒されます。
ぐるっとパノラマで見ると…、中年のご婦人たちに人気があるようで、次々と見に来ておりました。狭い部屋が満杯状態でした。
(3) 数十組の雛壇は壮観〜田中酒造の亀甲蔵
ご承知のように亀甲蔵の1Fは酒類の販売コーナーになっていて、2Fがホールになっています。そのホールの3面にびっしりと雛壇があってまさにお雛様たちのオンパレード。撮影に訪れた3月2日(日曜)は12時30分から「琴アンサンブル・カナル」の演奏会がありました。ひな祭りに関係する曲ほか、お客からのリクエスト曲も演奏、約1時間にわたって聞くことが出来ました。
1Fの販売こーなに入ると、まず目に付くのがこの雛壇。ライトが一升瓶の形をしているのがご愛嬌。奥の階段を上がって2Fに上がるとホールがあります。百人一首の木札は、
左が「(人はいさ 心も知らず ふるさとは) 花ぞ昔の 香ににほひける」 紀貫之
右が「(夜もすがら 物思ふころは 明けやらで) 閨のひまさへ つれなかりけり 俊恵法師
キーボード1人と琴4人の編成です。
側面には大小さまざまな雛飾りが…
雛壇の桃飾り(造花)と奥のタペストリーの絵を組み合わせて、春らしく。
(4) 運河プラザで篠笛演奏会
五人囃子の一人が持っている笛が篠笛です。篠竹つまり普通の笹竹で作られた簡素な笛です。この篠笛演奏会(山口流笛の会)が3月1日(土曜)に運河プラザでありました。
この方が笛の会の会長さんのようです。
笛だけでなく、歌もありました。全員での合奏。
通りすがりの観光客だけでなく、この笛の会の演奏を聴くために集まった方々も多いようでした。
(5) 和洋菓子店新倉屋花園店の百人一首かるた会
3月1日(土曜)午前10時30分開始とパンフレットに出ておりましたので、行ってみました。お店の一部に、雛めぐり用の小さな内裏様セットが置かれていました。もちろん和洋菓子店ですので、お雛様関連のお菓子も並べられています。
右下のプリントには。この着せ替えお雛様の由来等が書かれています。左手木札の百人一首のコピーには次の歌が書かれています。
「(誰をかも しる人にせむ 高砂の) 松もむかしの 友ならなくに」 藤原興風
「(長らえば またこのごろや しのばれむ) 憂しとみしよぞ 今は恋しき」 藤原清輔朝臣
さてかるた会の会場は2Fになります。事務所の中を通って上がると、すでに参加者は着席していて、小樽博物館の学芸員から百人一首と木札のかるたについての由来等が解説がされていました。
下の句を読んで下の句の木札を取るかるたは、北海道独特のものだそうです。ルーツは、福島県の会津地方ではないかと言われているそうです。北海道で使う木の札は、会津地方で生産されているとか…
学芸員の解説も終わり、いよいよかるた会の始まりです。小学生には、漢字崩し字の筆文字はまともに読めないですね。大人でも首をかしげる文字が多いのですから。
真剣に札を見つめています。
(6) 番外編、和風ホテルの雛飾り
このホテルは去年まで雛めぐりに参加していました。今年はパンフレットに名前が載っておりません。外からのぞくと、受付の帳場に雛壇が飾られています。入って写真を撮らせてくださいというと、いいですよとの返事。結構内部の和風とマッチしていてとても雰囲気がいいのです。なぜ参加していないのか尋ねたのですが、支配人が不在で不明とのこと。
雛壇の左側がロビー、右側が帳場になっています。雛壇の前には雛めぐりのパンフレットが置かれています。
木目込み人形ですね、去年はバックに梅の木が飾られていたような気がします。
(7) 我が家の雛祭り
二世帯住宅の我が家には女の子の孫が二人おります。孫のために、以前は2Fの仏壇の間で雛壇を組み立てて飾ったものでした。でも歳とともに、出して組み立て足り、片づけたりするのが億劫になってきて、ここ数年は出しておりません。その代わりに、3月3日(月曜は、我が家で祝うことにしています。娘と孫たちの手伝いで、ちらし寿司とオードブルが出来上がったようです。
おい、ワン公、舌なめずりするんじゃないよ。
一番下の孫娘は、自分で取り皿に…
澄まし汁の貝を口にはさんで…、奥はおこぼれ頂戴のワン公。
田中酒造の亀甲蔵の販売コーナーで、購入した「紫蘇リキュール」を炭酸で割って飲んだ、下戸の私は、コップ3分の1ほどであえなくダウン。何事も起らず、恙ない日でした。